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着心地のいい作務衣

作務衣を着たいとずっと前から思っていた。『三十光年の星たち』という小説の中で主人公の友人が天然染料で染めた絹の作務衣を寝巻きにしてアトピーが治ったという話を読んで、それはいいと思ったのが始まりだ。そしてまさにその本の中に出てくる京都の染物屋のモデルになったお店に藍染の作務衣を注文したのは本を読んでから数年後のことだった。残念ながら絹製を頼むことはできなかったが、身頃は藍染、おくみは榛で染めたという凝ったものだった。だいぶ大きかったし、布も思ったより固かったが、せっかくだからとしばらくこれを着て寝ていた。アトピーが治ったかといえば、大して変わらなかったという印象だ。二着目は坐禅の接心という泊まり込みの坐禅会に通うとき、作務衣が必要になった。ネットで探したが、なかなか気に入ったものには出会えなかった。どうにか見つけたものは袖口にゴムが付いていてあまり好きではなかったが、座禅の合間に行う作務には都合が良かった。

そして三着目。それまで着ていたパジャマが破れたのを機に妻が作務衣を作ってくれた。布も私に選ばせてくれた。生地は綿だが、絹のように柔らかい。色は高貴な紫だ。外で着るには柔らかすぎるし、色も恥ずかしいが、寝る時には最適だ。袖口にもゴムはないし、揃いのズボンもある。12月末現在、冬でも寒くない。朝起きときにはだけていることも滅多にない。夏以外は通年着られると思う。布を変えれば外出着にもなるだろう。和服は肩が楽とよく言われる。正直なところ私にはよくわからない。しかし、またパジャマに戻すかと言われればそれはないだろう。なんとも表現しにくい心地よさがあるのだ。

今回、妻は作務衣を作って販売することを決めた。このブログは元々ハーブを育てて、ハーブティーなどを売ろうとして妻が苦心して作ったものだ。いつの間にか私に乗っ取られて、雑多な記事が並べられてしまったが、この度ついに当初の目的を果たすことができた。きっとブログも喜んでいることだろう。販売の詳細については後日妻から新たな投稿があると思う。楽しみに待っていてほしい。

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簡単!美味しい!初心者でもできる自家製あんこ

あんこを初めて作る前まで自分で作るのは難しそうと感じていた。実際、人が作って失敗するのを見たり、上手にできなかったという話を聞いたりもした。けれど、実際に作ってみたら思いの外簡単にあんこはできた。そして美味しかった。

世間には様々なあんこのレシピがあることを知った。あんこの作り方だけで一冊の本が出来上がっているのも見た。確かにそれらのレシピ通りに作れば美味しくてつやつやのあんこが炊けるだろう。しかし…如何せん私には面倒だった。渋抜きを何度もしたり、糖蜜を作ったり…同じように感じて結局手作りを諦め、スーパーで袋詰めのあんこを買っている人も多いのではないだろうか。私もそうだった。それならいっそ多少適当でも自分で作ってみて出来立ての美味しさを味わってみた方がいいのではないだろうか。このレシピがあんこ初心者の背中を押す助けになれば幸いである。

まずは小豆を鍋に優しく入れて水でさっと洗う。小豆は250gか300gのものが多いようだ。あんこはうちでは琺瑯鍋で炊いている。水は洗うときから浄水器を通した水、または気に入った水を使いたいものだ。

水を切ったらまずは一度だけあく抜きをする。最初はあく抜きせずに炊いていたが、胸焼けしたことがあったので一度だけあく抜きしたら、とても上品な味になり、それからは一度だけあく抜きするようになった。かぶるくらいより多めの水を入れて中火にかける。煮立ったらしばらくそのままにして汁に色がついたら火から下ろし小豆を笊にあける。水気を切ったらそのまま洗った鍋に戻して今度はかぶるくらいの水を入れてまた火にかける。煮立ったらごく弱火にする。

ここからはひたすら水が減って小豆が顔を出したらまた少し足す、の繰り返しだ。妻のじいちゃん(若い頃菓子職人だった)の口伝によると「豆はぶつぶつ煮る」ものらしい。お湯の中で踊らせてはいけない。ということはあまり水を多く足してはいけないのであって、豆が顔を出さないくらいと言ったらいいのだろうか。また火もごく弱くなくてはならないということだ。あんこは本来、ずっと近くで見守っているものなのだろう。しかし、私が炊くときは仕事をしながらである。なんとなく耳だけは台所の音に集中させておいて、ぶつぶついう音が大きくなってきたら走って様子を見に行く。まあこんな適当な炊き方でも結構美味しく仕上がるものだ。

1時間くらいこの工程を繰り返すとそろそろいいかなという感じになってくる。確かめ方は小豆をつまんで指で潰せるか、木べらで混ぜたとき固く当たるものがないか、食べてみて美味しいか、そんなところだ。良さそうなら、砂糖を計る。うちでは甜菜糖を使っている。量は小豆の90%くらいにしているが、これは好みだろう。計った砂糖を三回くらに分けて入れていく。妻は一回で入れてしまう。砂糖が溶け切ったら火を強め、木べらでかき混ぜる。砂糖を入れてからは焦げやすくなるので鍋底からしっかりとかき混ぜる。さらに熱い汁が飛び跳ねるので、軍手をするなり火傷に気をつけるのはもちろんのこと、服や近くに置いてあるものが汚れないように注意する。このあんこの作り方で一番難しいのがこの工程だろう。火にかけ過ぎるとパサパサした仕上がりになってしまう。目安としては木べらで底からかき混ぜたとき鍋底が見えること、かき混ぜていてあんこが木べらにまとわりつくような重みを感じることだ。私は以前よくジャムを煮ていたので、この感覚を掴むのは早かった。

さて、これでもう出来上がりである。火から下ろして、余熱で焦げないようしばらくかき混ぜる。好みで塩ひとつまみを加えても良い。どうだろうか。つやつやの美味しそうな粒あんが出来上がっただろうか。すり鉢で搗いた餅(以前のブログ記事)と一緒に食べたなら、それは至福のひと時だ。