ベジタリアン・コロッケの美味しい作り方
我が家では昼食がその日のメインの食事になる。昼食を作ってくれるのは大概妻である。いっときはそれなりに交代で作っていたような気もするが、いつの間にかほぼ作ってもらうようになってしまった。言い訳をさせてもらえば、ノンベジがベジ料理を作るのは難しいし、料理レベルにも開きがあるのだから仕方ない。そんな中、申し訳なく思い、「そろそろ、何か作りましょうか」というとリクエストされるのは9割方コロッケである。
これまでなんとか美味しいベジ料理を作ろうと試みてきた。雑穀を使った料理は美味しいが、ご飯と一緒に食べると主食が二つあるような感じがしてどうも定着しなかった。そのほかにも色々チャレンジしたが、私がベジで作っても無理のない料理は今のところコロッケと揚げ出し豆腐だけのようである。
今回は何度も作って気づいた美味しいベジ・コロの作り方をご紹介しよう。
① ジャガイモはよく洗って芽を取り、皮ごと一口大に切って20cmの雪平鍋いっぱいになるくらいにする。鍋に一度水を入れ底からかき混ぜて汚れを落とし、今度はひたひたくらいに水を入れて火にかける。
②煮立ったら火を弱め、最初に浮いてきた灰汁はスプーンで取り除く。あとは水がなくなって柔らかくなるまで茹でるだけだ。この間に玉ねぎコロッケなら玉ねぎを刻んでフライパンで炒める。カレーの時ほど炒める必要はないが、透き通って味見して甘くて美味しいと感じるまで炒めるのが肝心だ。ローズマリーコロッケならローズマリーを庭から摘んできて葉を茎から外して包丁を両手で使って細かく刻むだけなので残りの時間を読書やパソコン作業に使える。
③コロッケの美味しさを決める一番のポイントはジャガイモの茹で加減だと思う。だから水の量と火加減といつ芋を潰し始めて、どこで火を止めるかには神経を使う。私は水が減ってシュワシュワしてきたら芋を潰し始める。そして、玉ねぎコロッケの時は水を飛ばし、ローズマリーコロッケの時は少ししっとりしているくらいで火を止める。火から下ろしたら、塩と玉ねぎ、もしくはローズマリーを加える。ローズマリーコロッケの時は刻んだ胡桃を加えてもいい。うちで使う鬼胡桃は刻むまでもなく殻から取り出した時点で粉々なので都合が良い。塩加減はこの芋を食べるとしたらこれくらいの塩で食べるだろうというくらいの量を振るといいのだそうだ。私もやっとコロッケの塩加減には慣れてきた。木べらで底からよくかき混ぜて冷めるまで待つ。
④手で触れるくらいに冷めたら成形に入る。なるべくあったかいうちに成形した方が美味しくなる。私のコロッケの生地はかなり柔らかいので丸めるというより、手のひらにすっぽり入るくらいの量を両手の間で優しく数回転がすだけだ。そしてまず皿の中で小麦粉につけて手の上でポンポンし、終わったらその皿に水を入れてかき混ぜてバッター液にする。バッター液につける手とパン粉の中でコロッケを転がす手は別にしておく。バッター液は卵でやるのが普通だろう。うちも初めはそうしていたが、何かの本で小麦粉を水で溶かすことでもできることを知ってからはもっぱらこのやり方になった。なのでヴィーガン・コロッケと言えよう。また、グルテンフリーならぬグルへり(グルテン減りー)をやっていた時は(まあ今もやってるのだけど)小麦粉を米粉に、パン粉も玄米パン粉に変えてみたりしたが、やはり重い気がする。小麦粉の方がサクッと揚がる。パン粉は粉、塩、イーストくらいのシンプルな原料のものがおすすめである。
⑤フライパンに多めに油を入れる。今も難しいのは油を贅沢に使うことである。結局使うのだからチビチビ足すより最初からたっぷり入れた方が美味しく揚がるに違いないのだが、どうしても控えめになってしまう。そういう感じなので、中弱火くらいで6面をゆっくり揚げ焼きしていく。揚がったら栗原はるみさんの白い網付きトレーに置いていく。このお皿を買ったおかげで我が家の揚げ物は格段に美味しくなった。ステンレスのトレーと違い、そのまま食卓に並べられるのも重宝する。さてさてこれで出来上がりである。ほかに味噌汁やサラダ、切り干し大根の煮物のような副菜を一つ作って2時間、というのが私の目安である。
ベジタリアン・コロッケの作り方いかがだっただろうか。ジャガイモを全てサツマイモに変えるのは私はあまりお勧めしないが、2〜3割サツマイモを入れてみると甘くなって美味しい。また、以前妻がよく作ってくれたジャガイモとバターだけのコロッケも美味しかった。こちらはバターをビビるくらい入れなくてはならない。私は入れられなかったな・・・
ベジタリアン料理というとお肉料理と比べてどうしても物足りないものと思われがちだが、料理する人の腕と素材次第ではそんなことは全くない。そしてコロッケは腕、素材もそこまで問われないと思う。肉を食べる私からしてもコロッケは肉なしの方が美味しい料理の一つである。というのもベジタリアンで名前のある料理を作ろうとすると大豆ミートを使ったもどき料理になるか、ボリュームのなさを補おうとして、ナッツや雑穀を入れたりするものが多いが、コロッケは単純に肉を抜くだけで、素材の味が楽しめてボリュームも満点の料理に仕上がるからだ。